自信を取り戻すワークブック

自己肯定感を育む物の見方を変えるリフレーミングワーク

Tags: 自己肯定感, リフレーミング, ワーク, ポジティブ思考, 考え方

ネガティブな考え方から抜け出し、心を軽くする方法

日々の生活の中で、ついネガティブに物事を捉えてしまったり、失敗を引きずって自分を責めてしまったりすることはありませんでしょうか。あるいは、周りの人と自分を比べてしまい、自分の至らないところにばかり目がいってしまうこともあるかもしれません。

こうしたネガティブな考え方は、知らず知らずのうちに自己肯定感を低くしてしまうことがあります。自分には価値がないと感じたり、「どうせうまくいかない」と新しい挑戦をためらったりすることにもつながります。

しかし、物事の捉え方、つまり「ものの見方」を変えることで、心の状態を大きく変えることが可能です。この記事では、自己肯定感を育むための具体的な実践方法として、「リフレーミング」という考え方を取り入れたワークをご紹介します。専門的な知識は不要で、どなたでも手軽に始められるワークです。ぜひ、ご自身のペースで試してみてください。

リフレーミングとは?なぜ自己肯定感に繋がる?

リフレーミング(Reframing)とは、物事の捉え方や考え方の枠組み(フレーム)を変えて、別の視点から見てみることです。同じ出来事でも、どの枠組みで見るかによって、感じ方や意味合いが変わってきます。

例えば、「遅刻してしまった」という出来事を考えてみましょう。 ネガティブな枠組みで見れば、「なんて自分はダメなんだ」「時間にルーズだと思われたらどうしよう」と自分を責めたり、不安になったりするかもしれません。 これをリフレーミングするとどうなるでしょうか。「今日は時間に間に合わなかったが、次はどうすれば遅刻しないか具体的な対策を考える良い機会になった」「慌てて行動することの危険性に気づけた」のように、学びや気づきの機会として捉え直すことができます。

このように、リフレーミングは、ネガティブに感じられる出来事や自分自身の特性に対して、新しい意味や価値を見出す手助けとなります。自分自身や経験を肯定的に捉え直す練習を重ねることで、自己否定のパターンから抜け出し、少しずつ自己肯定感を育むことができるのです。

今日からできるリフレーミングワーク

ここでは、手軽に始められるリフレーミングのワークをいくつかご紹介します。紙とペン、またはスマートフォンのメモ機能などがあればすぐに実践できます。

ワーク1:出来事の「ポジティブな側面」を見つける

これは、ネガティブだと感じた出来事や経験の中に、隠れた良い点や学びを見つけ出すワークです。

手順:

  1. 最近、あなたがネガティブに感じたり、落ち込んだりした出来事を一つ思い浮かべ、簡単に書き出してください。 (例:企画を提案したが、上司に厳しいフィードバックをもらった)
  2. その出来事について、以下の点を考えて、書き出してみてください。
    • この出来事から、何を学ぶことができたか?
    • この経験は、今後どのように役に立つ可能性があるか?
    • この状況の中で、良かったこと、感謝できることは何か?(例:改善点を知ることができた、次に活かせるヒントをもらえた、一生懸命取り組んだプロセス自体は無駄ではなかった)
    • この出来事を通して、自分の新しい一面に気づいたか?

期待される効果: 出来事に対する見方が変わり、過度に落ち込んだり、自分を責めたりすることを軽減できます。失敗や困難を成長の機会として捉え直す練習になります。

実践上のコツ: 最初は難しく感じるかもしれません。無理に「ポジティブ」になろうとするのではなく、「この経験から何が学べるだろう?」「別の可能性はないかな?」と、探偵のように様々な角度から考えてみるのがコツです。小さな発見でも構いません。

ワーク2:自分の「欠点」を「長所」の裏返しとして捉え直す

これは、自分が「欠点だ」「ダメだ」と感じている自分の特性について、別の側面から捉え直すワークです。

手順:

  1. あなたが自分自身について「欠点だ」と感じている点を一つ、あるいはいくつか書き出してください。 (例:飽きっぽい、心配性、頑固、大雑把)
  2. 書き出したそれぞれの「欠点」について、「それは、どのような状況や視点から見ると長所になりうるだろう?」と考えて、書き出してみてください。
    • 例:「飽きっぽい」→「新しいことに挑戦するのが得意」「色々な経験ができる」
    • 例:「心配性」→「慎重に計画を立てられる」「リスク管理ができる」
    • 例:「頑固」→「自分の意見をしっかり持っている」「一度決めたらやり遂げる力がある」
    • 例:「大雑把」→「細かいことにこだわりすぎない」「素早く行動できる」

期待される効果: 自分が「欠点」だと思っていた特性にも肯定的な側面があることに気づき、自己受容が進みます。「ダメな自分」ではなく、「様々な側面を持つ自分」として受け入れる練習になります。

実践上のコツ: すぐに思いつかない場合は、友人や家族に「もしこの特性をポジティブに言い換えるなら?」と尋ねてみるのも良い方法です。また、全ての欠点をポジティブに捉え直す必要はありません。まずは一つ、興味のあるものから試してみてください。

ワーク3:「べき思考」を手放し「かもしれない思考」を試す

「〜すべき」「〜ねばならない」といった考え方は、自分自身を追い詰め、プレッシャーを与えがちです。このワークでは、思考の柔軟性を高める練習をします。

手順:

  1. あなたが日常でよく考えてしまう「〜すべき」「〜ねばならない」といった考え方を書き出してください。 (例:仕事は完璧にこなすべきだ、常に笑顔でいるべきだ、周りの期待に応えなければならない)
  2. 書き出したそれぞれの「べき思考」を、「〜でもいいかもしれない」「〜という可能性もある」「〜という選択肢もある」といった表現に変えて、書き直してみてください。
    • 例:「仕事は完璧にこなすべきだ」→「完璧でなくても、今できるベストを尽くせばいいかもしれない」「完璧を目指すことで、逆に時間がかかりすぎたり疲弊したりする可能性もある」
    • 例:「常に笑顔でいるべきだ」→「疲れているときは、無理に笑顔でいなくてもいいかもしれない」「自分の感情に正直になっても大丈夫かもしれない」
    • 例:「周りの期待に応えなければならない」→「周りの期待に応えつつも、自分の気持ちも大切にしてもいいかもしれない」「全ての期待に応えることは難しく、自分の優先順位を考えてもいいかもしれない」

期待される効果: 自分自身に課している不必要なプレッシャーを軽減し、心が楽になります。完璧主義から少し距離を置き、自分に優しくなることにつながります。

実践上のコツ: 「〜べき」という言葉に気づくことから始めましょう。すぐに考え方を変えられなくても、まずは「あ、今『〜べき』と考えているな」と認識するだけでも十分な一歩です。書くことで、自分の思考パターンを客観的に見ることができます。

ワークを続けるためのヒント

ご紹介したワークは、一度行えば劇的に全てが変わる、というものではありません。大切なのは、繰り返し実践することです。

まとめ

自己肯定感を育むためには、自分自身のことを肯定的に捉え直す練習が有効です。今回ご紹介したリフレーミングワークは、ネガティブな出来事や自分の特性、考え方の癖に対して、新しい視点を与えてくれる実践的な方法です。

「物の見方を変える」ということは、特別な能力が必要なことではありません。少しの意識と練習によって、誰もが身につけることができるスキルです。このワークを通して、一つでも多くの出来事や自分自身のことを肯定的に捉え直し、心が少しでも軽くなることを願っています。

自分を責めるのではなく、自分に寄り添いながら、少しずつ自己肯定感を育んでいくプロセスを楽しんでいただければ幸いです。