「ありのままの自分」を肯定するやさしいワーク
「ありのままの自分」を受け入れることから始める自己肯定感の育て方
自己肯定感について考えるとき、私たちはつい「もっとこうならなければ」「あの人のようになりたい」と、理想の自分や他人と比べてしまうことがあるかもしれません。特に、周りの評価が気になる状況では、ありのままの自分では不十分だと感じてしまい、自信をなくしてしまうこともあるでしょう。
「ありのままの自分」を受け入れるとは、自分の長所だけでなく、短所や欠点だと感じる部分、そして湧き上がる様々な感情も含めて、「これが今の自分なのだ」と認めることです。完璧を目指すのではなく、良い部分もそうでない部分もひっくるめて自分なのだと受け入れることで、他人との比較から解放され、心の安定につながります。
ここでは、ありのままの自分を肯定するために、誰でも手軽に始められるやさしいワークをいくつかご紹介します。特別な準備は必要ありません。まずは、今の自分に目を向けることから始めてみましょう。
ワーク1:自分への「OKリスト」作成
私たちは、無意識のうちに自分の欠点や失敗にばかり目を向けがちです。このワークでは、完璧ではない今の自分自身に「OK」を出せる部分を見つけてリストアップします。
ワークの手順
- ノートや紙、スマートフォンのメモ機能など、書き留められるものを用意します。
- 「今の自分にOKを出せること」というテーマで、思いつく限り書き出してみましょう。内容はどんなに小さなことでも構いません。
- 例:「朝ちゃんと起きられた」
- 例:「頼まれた仕事をやり遂げた」
- 例:「落ち込んでいるけれど、それも自分だと認める」
- 例:「新しいワークに挑戦してみようと思った」
- 例:「今日は少し疲れているけれど、頑張っている」
- 例:「完璧ではない自分でも大丈夫だと思ってみる」
- 例:「失敗してしまったけれど、そこから学ぼうとしている」
- リストを見返しながら、「今の自分で、これでいいんだな」と静かに感じてみましょう。
期待される効果
自分の「できている部分」や「そのままの自分」を意識的に見つけることで、自己否定のループから抜け出しやすくなります。完璧でなくても価値があるという感覚が育まれ、自己肯定感の基盤が strengthened されます。
実践上のコツ
- どうしても見つからない時は、「今日、できたことは何だろう?」や「今の自分を責めないとしたら、何が見えるだろう?」と問いかけてみましょう。
- 最初は数個から始めても構いません。毎日続けることで、自然と見つけられることが増えていきます。
ワーク2:感情や感覚の「実況中継」
自分の内側で起こっていること(感情や身体の感覚)を否定せず、ありのままに言葉にして受け止める練習です。
ワークの手順
- 静かに座り、数回深呼吸をして落ち着きます。
- 今の自分の感情や、身体に感じる感覚に意識を向けます。
- 心の中で、または声に出さずに、感じていることを客観的に言葉にしてみましょう。「〇〇と感じているな」「△△な感覚があるな」のように、「~と感じる」「~がある」という形で描写します。
- 例:「少し不安を感じているな」
- 例:「肩が凝っているな」
- 例:「集中力が少し途切れているな」
- 例:「楽しい気持ちになっているな」
- 例:「足が少し冷たいな」
- 良い・悪いという判断を加えず、ただ「観察する」ことに徹します。感じていることを変えようとしたり、原因を探ったりする必要はありません。
- 数分間続け、最後に再び深呼吸をして終了します。
期待される効果
自分の感情や身体の感覚を客観的に捉えることで、それらに振り回されにくくなります。「嫌な感情だから感じてはいけない」と否定するのではなく、「今はこんな感情があるんだな」と受け流せるようになり、心の余裕が生まれます。これも「ありのままの自分」の一部を受け入れる大切なステップです。
実践上のコツ
- 最初は短い時間(1~2分)から始めましょう。
- どうしても判断や評価が浮かんでしまう場合は、「 judgement が浮かんでいるな」とそれ自体を実況中継してみましょう。
- 歩いている時や電車に乗っている時など、日常の隙間時間にも試すことができます。
ワーク3:自分への「肯定的な問いかけ」
いつもの考え方から少し離れ、自分自身に対する見方を変えるための問いかけです。
ワークの手順
- リラックスできる場所で静かに過ごします。
- これから示す問いかけを心の中で繰り返したり、書き留めたりしてみましょう。答えを探そうとせず、ただ問いかけを自分に聞かせてみるイメージです。
- 「もし、今の自分で十分だとしたら、何が見えるだろう?」
- 「もし、完璧でなくても愛されるとしたら、どう感じるだろう?」
- 「もし、他人と比較する必要がないとしたら、自分にはどんな良いところがあるだろう?」
- 「もし、失敗が学びの機会だとしたら、この経験から何を得られるだろう?」
- 「もし、ありのままの自分に価値があるとしたら、どんな一日を送るだろう?」
- これらの問いかけに対する「正しい答え」はありません。問いかけによって心に浮かぶ感覚や考えを、ただ受け止めてみましょう。
期待される効果
否定的な自己イメージや固定観念に囚われず、新しい視点から自分自身を捉え直すきっかけになります。ありのままの自分に対する、より肯定的で優しい見方を育む助けとなるでしょう。
実践上のコツ
- 一度にたくさんの問いかけをする必要はありません。心に響く問いかけを一つか二つ選び、じっくりと自分に問いかけてみましょう。
- 答えが出なくても大丈夫です。問いかけ自体に意味があります。
小さな一歩を積み重ねることが大切
自己肯定感を育む旅は、一度に大きな変化を目指すものではありません。これらのワークも、完璧にこなすことよりも、まずは試してみるという小さな一歩が大切です。
ありのままの自分を受け入れることは、時に抵抗を感じるかもしれません。しかし、ご紹介したようなやさしいワークを通して、少しずつ「今の自分」にOKを出す練習をすることで、自己否定の癖を和らげ、他人との比較に囚われにくくなるはずです。
毎日少しずつ、自分自身に優しい目を向けてみましょう。小さな成功体験を積み重ねることで、きっと自己肯定感は育まれていきます。応援しています。