自信を取り戻すワークブック

理想と現実のギャップに悩む時 今の自分を大切にするワーク

Tags: 自己肯定感, ワーク, 悩み克服, 自分を受け入れる

多くの方が、「もっとこうだったら良いのに」という理想の自分や、達成したい目標を心に描いています。それは素晴らしいことですが、時にその理想と今の自分の間に大きなギャップを感じ、落ち込んでしまうことがあるかもしれません。

周りの人と比べて「自分はまだまだだ」「全然できていない」と感じたり、新しい一歩を踏み出すことに躊躇したりするのは、このギャップから生まれる不安や自信のなさからきている場合があります。

この記事では、理想と現実のギャップに健全に向き合い、今のありのままの自分を大切にしながら、自己肯定感を育むための実践的なワークをご紹介します。専門的な知識は不要で、どなたでも手軽に取り組める内容です。

なぜ理想とのギャップは苦しいのか

私たちは無意識のうちに、社会的な期待や他人との比較を通して「こうあるべき」という理想像を作り上げてしまいます。その理想が高すぎたり、現実離れしていたりする場合、今の自分との間に大きな隔たりを感じ、「自分には価値がないのではないか」「どうせ無理だ」と自己否定につながりやすくなります。

また、理想にばかり目が向くと、今の自分ができていること、頑張っていることを見過ごしてしまいがちです。これが、自己肯定感を低くしてしまう要因の一つと考えられます。

このギャップを埋めることだけを目標にするのではなく、まずは「ギャップがあること」そのものを受け止め、その上で今の自分を認め、大切にすることが、自己肯定感を育むための大切なステップです。

ワーク1:理想の自分と現実の自分を「見える化」する

まず、心の中にある理想と現実を書き出して、客観的に見てみましょう。

準備するもの: * ノートや紙 * ペン

手順: 1. ノートを左右に分割するか、別の紙を2枚用意します。 2. 片方(または左側)に「理想の自分」と書き、あなたが「こうなりたい」と思う自分の姿、達成したいこと、手に入れたい状況などを自由に書き出します。仕事、人間関係、趣味、内面など、どんな側面でも構いません。具体的なほど良いですが、思いつくままに書いてみましょう。 3. もう片方(または右側)に「今の自分」と書き、今のあなたが「できていること」「頑張っていること」「持っているもの」「得意なこと」そして「苦手だと感じていること」「課題だと感じていること」などを正直に書き出します。こちらもどんな小さなことでも構いません。 4. 書き終えたら、両方のリストを眺めてみましょう。理想と現実の間にどのようなギャップがあるか、どのような点が異なっているかを確認します。

このワークの目的: 頭の中で漠然と考えているだけでは、理想は過大になりやすく、現実の自分は過小評価されがちです。書き出すことで、理想と現実を客観的に捉え、感情的にならずに状況を把握できるようになります。

実践のコツ: * 誰に見せるものでもないので、正直な気持ちで書きましょう。 * 「理想の自分」は完璧でなくても構いません。「今の自分」も、否定的な言葉を使いすぎず、事実を書き出すように心がけましょう。 * 書き出した内容に対して、すぐに評価や判断を下そうとしないことが大切です。

ワーク2:今の自分の「良い点」「頑張り」に光を当てる

ワーク1で書き出した「今の自分」リストを見ながら、ポジティブな面に意識を向けてみましょう。

手順: 1. ワーク1で作成した「今の自分」リスト、または新しい紙を用意します。 2. 「今の自分」リストの中で、あなたが「これは良い点だな」「これは頑張っているな」と感じる項目に丸をつけたり、蛍光ペンで印をつけたりします。 3. もし余裕があれば、印をつけた項目や、リストには書かなかったけれど「これも自分の良い点だ」「これも頑張りだ」と思えることを、別のリストに書き出してみましょう。どんなに小さなことでも、些細なことでも構いません。例えば、「朝、時間通りに起きられた」「苦手なあの人に挨拶できた」「頼まれた仕事を期日までに提出できた」「今日のランチは栄養バランスを考えた」「疲れているけれど、お風呂に入れた」といった、日常の小さな行動や状態も含まれます。 4. 書き出した「良い点」「頑張り」リストを声に出して読んでみましょう。

このワークの目的: 私たちはネガティブな側面に注意が向きやすい傾向があります。意識的にポジティブな側面に光を当てることで、自分の中に既にある価値や努力を認め、「自分は何もできていない」という感覚を和らげることができます。これは、自己肯定感を育むための土台作りになります。

実践のコツ: * 当たり前だと思っていることの中にも、あなたの良い点や頑張りが隠されています。「〜するのが当然だ」という考えを一度横に置いて、フラットな目で自分を見てみましょう。 * 過去の経験で「あの時、私はこんなに頑張ったな」と思い出すことがあれば、それもリストに加えてみましょう。 * 最初は何を書けば良いか分からないかもしれません。完璧を目指さず、少しずつ見つけていく感覚で取り組みましょう。

ワーク3:ギャップを「成長のヒント」として捉える

ワーク1で見えたギャップを、自分を責める材料にするのではなく、これからの成長のためのヒントとして活用します。

手順: 1. ワーク1で作成した「理想の自分」と「今の自分」のリストを再び見比べます。 2. 特にあなたが「このギャップを少しでも埋めたいな」「ここを変えていきたいな」と感じる点をいくつか選びます。 3. 選んだギャップに対して、「理想に近づくために、今日、すぐにできる小さな一歩は何だろう?」と考えて、具体的な行動を書き出してみましょう。例えば、「朝活できるようになりたい(理想) vs 朝起きるのが苦手(現実)」というギャップなら、「いつもより5分早く起きるために、目覚まし時計を少し離れた場所に置く」「寝る前にスマホを見るのをやめる」といった、ハードルの低い行動を考えます。 4. 書き出した小さな一歩の中から、今日一つだけ、明日一つだけ、と実際に実行することを決めます。

このワークの目的: 大きなギャップを見ると圧倒されてしまい、行動に移せなくなることがあります。ギャップを細分化し、すぐに取り組める小さな一歩に焦点を当てることで、「自分にもできる」という感覚(自己効力感)を育み、具体的な変化を起こすきっかけを作ります。

実践のコツ: * いきなり全てのギャップを埋めようとしないことが重要です。最も気になっている点や、取り組みやすそうな点から始めましょう。 * 「小さな一歩」は、失敗しても自分を責めないで済むくらい、ごく簡単な行動に設定します。例えば、「毎日30分勉強する」ではなく「勉強机の前に5分座る」、「毎日運動する」ではなく「家の中で軽くストレッチをする」といったレベルです。 * その小さな一歩ができたら、ぜひ自分を褒めてあげてください。ワーク2で学んだ「良い点」「頑張り」を見つける視点を活用しましょう。

ワークを続ける上での大切なこと

これらのワークは、一度やって終わりではなく、継続することで少しずつ効果を実感できるようになります。

まとめ

理想の自分を追い求めることは、成長の原動力になります。しかし、その理想と現実のギャップに苦しみ、今の自分を否定してしまうと、前に進むエネルギーを失ってしまいます。

今回ご紹介したワークは、理想と現実を客観的に捉え、ネガティブな側面にばかり目を向けるのではなく、今の自分が持っている価値や努力に気づき、小さな一歩を踏み出すための手助けとなるものです。

完璧ではない今の自分も、理想に向かって努力している素晴らしい自分です。これらのワークを通して、ありのままの自分を大切にし、少しずつ自己肯定感を育んでいくことを願っています。