自分の気持ちに「OK」を出す やさしい自己承認ワーク
自己肯定感が低いと感じていると、つい自分の気持ちや考えを否定してしまったり、「こんな自分ではだめだ」と落ち込んだりすることがあるかもしれません。特に、不安や悲しみといったネガティブな感情や、失敗した自分、他人と比べて劣っていると感じる自分に「OK」を出せず、自分を責めてしまうこともあるのではないでしょうか。
この記事では、ありのままの自分を受け入れ、自己肯定感を育むための一歩となる「自己承認ワーク」をご紹介します。特別なスキルは必要なく、誰でも手軽に取り組める簡単なワークです。
自己承認とは? なぜ重要なのでしょうか
自己承認とは、自分の良いところだけでなく、欠点や失敗、そして様々な感情も含めた「ありのままの自分」を否定せずに受け入れることです。完璧ではない自分、弱い自分、ネガティブな感情を抱えている自分、その全てに「これで良いんだ」と許可を与えるようなイメージです。
自己肯定感が低い方は、自分を否定的に捉えがちです。「どうせ自分なんて」「もっと〇〇でなければ」と、理想の自分とかけ離れていると感じる部分を強く否定してしまうことがあります。しかし、自分の一部を否定することは、自分自身を傷つけることにつながります。
自己承認を進めることで、自分自身に対する否定的な評価が和らぎます。「完璧でなくても大丈夫」「失敗することもある」と自分に優しくなれるため、内面に安心感が生まれます。この安心感が、自己肯定感を高める土台となるのです。
実践ワーク:自分の気持ちに「OK」を出すワーク
ここからは、具体的に自分の気持ちやありのままの自分に「OK」を出すためのワークをご紹介します。日々の生活の中で、気づいた時に少しずつ取り入れてみてください。
ワーク1:感情のラベリング&承認
自分の心の中に湧き上がってくる感情に気づき、それを否定せずに受け入れる練習です。
手順
- 今の気持ちに気づく:
- 少し時間をとり、心の中で今どんな感情を感じているか意識を向けてみましょう。
- 「なんだかモヤモヤするな」「少し不安を感じているな」「楽しい気持ちだな」「疲れているな」など、漠然としていても大丈夫です。
- 感情に名前をつける(ラベリング):
- 気づいた感情に、言葉で名前をつけてみましょう。「これは『不安』という感情だな」「これは『悲しみ』だな」「これは『怒り』かもしれない」「これは『喜び』だな」のように、心の中でつぶやいてみます。
- 感情を「良い」「悪い」と判断する必要はありません。ただ、そこに「ある」という事実を認識するだけです。
- その感情があることを「OK」とする:
- 名前をつけた感情があることを、そのまま受け入れる言葉を心の中で唱えます。
- 例えば、不安を感じているなら「不安を感じている自分にOK」、落ち込んでいるなら「落ち込んでいる自分にOK」というように、「〇〇な自分にOK」というフレーズを使ってみます。
- ポジティブな感情でも同じです。「嬉しい自分にOK」「楽しい自分にOK」のように、どんな感情も否定せず承認します。
期待される効果
- 感情と自分自身を切り離して客観的に見られるようになります。感情に巻き込まれすぎず、冷静さを保ちやすくなります。
- ネガティブな感情を無理に押さえつけたり、否定したりすることが減り、感情を自然に受け流せるようになります。
- 自分の感情をコントロールしようとするのではなく、ただ「ある」と認めることで、自分への許容度が上がります。
実践のコツ
- 最初は数秒でも構いません。日々のちょっとした瞬間に、今の感情に気づき「OK」を出してみましょう。
- どんな感情にも「OK」を出してください。嫌だと感じる感情でも、それは今の自分の一部だと認める練習です。
- 感情に「良い」「悪い」といった評価をつけないように意識します。
ワーク2:ありのままの自分に「OK」を出す
自分の全体像や、特定の状況における自分自身に「OK」を出す練習です。
手順
- 今の自分に意識を向ける:
- 鏡を見た時、一人で静かに過ごす時間、何かミスをしてしまった時など、様々な状況で今の自分自身に意識を向けてみます。
- 完璧ではない部分や、他人と比べてしまう部分、自信がないと感じる部分など、普段否定的に捉えがちな部分にも目を向けます。
- 完璧でなくても良いことを許す:
- 「自分は完璧ではない」「失敗することもある」「苦手なことがある」という事実を、そのまま受け入れます。
- 「もっと〇〇でなければならない」という理想を手放し、「今の自分で大丈夫だ」と心の中で唱えます。
- 「今の自分にOK」を唱える/書く:
- 「完璧ではないけれど、今の自分にOK」「失敗してしまったけれど、大丈夫、今の自分にOK」「自信が持てない時もあるけれど、そんな自分にもOK」のように、自分自身に許可を与える言葉を心の中で唱えたり、紙に書き出したりします。
- 肯定したい特定の側面について「〇〇が苦手でも、今の自分にOK」「あの人みたいにうまくできなくても、今の自分にOK」のように具体的に「OK」を出すことも有効です。
期待される効果
- 自分自身を否定的に評価する癖が和らぎ、自分に優しくなれます。
- 他人との比較による落ち込みから回復しやすくなります。
- ありのままの自分を受け入れることで、自己受容が進み、内面に安定感が生まれます。
実践のコツ
- 最初から自分自身を丸ごと受け入れようと思わなくても大丈夫です。まずは「完璧でなくても良い」と自分に許すことから始めてみましょう。
- 否定的な気持ちが強い時は、「今はそう感じているんだな」と、その否定的な気持ち自体に「OK」を出す練習から入ることも有効です。
- 手帳やノートに書き出すことは、気持ちを整理し、自分自身を客観視する助けになります。
ワークを続ける上での注意点
自己承認のワークは、すぐに劇的な効果が現れるものではないかもしれません。大切なのは、継続して取り組むことです。
- すぐに効果が出なくても焦らない: 自己否定の癖は長年の習慣かもしれません。すぐに変わらなくても自分を責めないでください。「練習中だから大丈夫」と、練習している自分にOKを出しましょう。
- 無理せず、できる範囲で行う: 毎日完璧に行う必要はありません。疲れている時や気分が乗らない時は、お休みしても大丈夫です。できる時に、少しずつ取り入れてみましょう。
- 辛い感情が強い場合は専門家へ相談も検討: もし、自己承認ワークに取り組む中で非常に辛い感情が湧き上がってきたり、日常生活に支障が出るほどの落ち込みがある場合は、専門家(心理カウンセラーなど)に相談することも考えてみてください。専門家のサポートを受けることは、決して弱いことではありません。
小さな一歩が大きな変化へ
自己承認のワークは、「ダメだ」と思い込んでいる自分に、「OKだよ」と優しく語りかける練習です。最初はぎこちなく感じるかもしれませんが、この「OK」を少しずつ積み重ねることで、自分を否定する力が弱まり、自分を受け入れる力が育っていきます。
小さな感情、小さな行動、小さな自分自身に、その都度「OK」を出してみましょう。その小さな一歩一歩が、ありのままの自分を肯定し、自己肯定感を高めることにつながっていきます。
まとめ
自己肯定感を育むためには、まず「ありのままの自分にOKを出す」自己承認が重要な土台となります。感情を否定せず受け入れる「感情のラベリング&承認」ワークや、完璧ではない自分自身に「OK」を出すワークは、自分への許容度を高め、安心感をもたらしてくれます。
すぐに変わらなくても大丈夫です。日々の生活の中で、できることから少しずつ、自分自身に優しく「OK」を出す習慣を取り入れてみてください。その積み重ねが、きっとあなたの自己肯定感を育む大きな力になるはずです。