「自分のペース」を大切に:他人と比較しない自己肯定感ワーク
自己肯定感が低いと感じる時、私たちはつい周囲の人と自分を比べてしまいがちです。「あの人はこんなにできるのに、私は...」「みんなもっと先に進んでいる」のように感じて、焦りや劣等感を抱いてしまうことがあります。
他人との比較は、時に自分を奮い立たせるきっかけになることもありますが、多くの場合、自分自身の価値を見失わせ、自己肯定感を低下させる原因となります。特に、SNSなどで他人の「良い部分」ばかりを目にすると、自分には足りないものばかりがあるように感じてしまい、落ち込みやすくなります。
しかし、人生にはそれぞれ「自分のペース」があります。他人のペースや基準に合わせる必要はありません。自分のペースを大切にすることは、他人との比較からくる苦しさを手放し、ありのままの自分を受け入れ、自己肯定感を育むために非常に重要です。
ここでは、他人と比較する癖を和らげ、自分のペースを大切にしながら自己肯定感を高めるための具体的なワークをいくつかご紹介します。どれも手軽に始められるものばかりですので、ぜひ試してみてください。
ワーク1:今日の自分記録
このワークは、他人ではなく「過去の自分」に目を向け、日々の小さな成長や変化に気づくためのものです。他人との比較ではなく、自分自身の歩みに焦点を当てる習慣をつけます。
手順:
- ノートや日記アプリを用意します。
- 毎日の終わりに、今日一日を振り返り、できたこと、感じたこと、気づいたことなどを書き出します。
- 内容の大小は問いません。「〇〇のタスクを終わらせた」「新しい情報を一つ学んだ」「今日はいつもより早く起きられた」「美味しいコーヒーを淹れてリラックスできた」「心がざわついた時に休憩できた」など、些細なことでも構いません。
- 特に「昨日や以前の自分と比べて、少しでも良くなった点」や「新しい視点を得られた点」などに注目して書き出すと良いでしょう。
期待される効果:
- 自分自身の成長や努力を認識しやすくなります。
- 他人との比較から意識が逸れ、自分自身のペースに目を向けられるようになります。
- 日々の小さな達成感やポジティブな側面に気づきやすくなり、自己肯定感が育まれます。
実践のコツ:
- 毎日完璧に書く必要はありません。書けなかった日があっても、気にせず次の日から再開しましょう。
- ネガティブな出来事を書くこともできますが、その際は「そこから何を学んだか」「どう対処しようと思ったか」など、学びや気づきの視点を加えると前向きな振り返りになります。
ワーク2:「私にとっての『良い』」定義ワーク
このワークは、世間や他人の基準ではなく、自分自身の価値観や感覚に基づいた「良い」状態や「幸せ」を明確にするためのものです。自分にとって本当に大切なものが分かれば、他人との比較で一喜一憂することが減ります。
手順:
- 紙とペンを用意します。
- 以下の問いかけについて、頭に浮かんだことを自由に書き出してみましょう。
- 私にとって、心地よいと感じる瞬間はどんな時ですか?
- どんな時に「自分らしいな」と感じますか?
- どんな活動をしている時が楽しいですか?
- 大切にしたい価値観は何ですか?(例:穏やかさ、正直さ、成長、自由、安定など)
- 私にとって「成功」とは、具体的にどのような状態ですか?(地位や収入だけでなく、心の状態や日々の充実度なども含めて考えます)
- 周りの評価に関わらず、自分が「良い」と感じることは何ですか?
- 書き出した内容を眺め、自分にとっての「良い」や「大切」がどのようなものかを感じ取ります。
期待される効果:
- 自分自身の内なる基準が明確になります。
- 他人の評価や基準に振り回されにくくなります。
- 自分にとって本当に必要なことや、目指したい方向性が見えやすくなります。
- 自分自身の価値観に基づいた選択をしやすくなり、自己肯定感が高まります。
実践のコツ:
- 一度きりではなく、定期的に(数ヶ月に一度など)見直したり、新しい発見を書き加えたりすると良いでしょう。
- 答えに詰まっても大丈夫です。すぐに完璧な答えを出そうとせず、思いついたことから少しずつ書き足していくくらいの気持ちで行います。
ワーク3:「スローダウン」練習ワーク
他人と比較して焦る気持ちがある時、無意識のうちに物事を急いでしまったり、心ここにあらずの状態になったりしがちです。このワークは、意図的に心や体のペースを落とし、今に意識を向ける練習です。
手順:
- 日常の何気ない行動(食事、歯磨き、通勤中の歩行、お茶を飲むなど)を一つ選びます。
- その行動を、いつもよりゆっくりと、意識的に行ってみます。
- 例えば食事なら、一口一口の味や香り、舌触りを丁寧に感じてみます。歩行中なら、足が地面につく感覚や、周囲の音に注意を向けてみます。
- 短い時間(1分や5分でも良い)で構いませんので、意識的に「今、ここ」に注意を向け、体の感覚や呼吸、周囲の様子などを感じてみます。
- 焦る気持ちが湧いてきても、「今、焦っているな」と、ただその気持ちに気づくだけで良いとします。
期待される効果:
- 心身の緊張が和らぎ、リラックスできます。
- 焦燥感や不安感が軽減されます。
- 「今、ここ」に集中することで、未来への過度な心配や過去への後悔から離れることができます。
- 自分の内側の状態に気づきやすくなり、自分自身への理解が深まります。
実践のコツ:
- 完璧に行う必要はありません。「気づいた時に、少しだけ」という意識で大丈夫です。
- 無理のない範囲で、日常に取り入れやすい行動から始めてみましょう。
ワークを続ける上での大切なこと
これらのワークは、すぐに劇的な変化をもたらすものではないかもしれません。大切なのは、完璧を目指すのではなく、ご自身のペースで、できる範囲で続けてみることです。
もしワークを忘れてしまったり、うまくできないと感じたりしても、自分を責めないでください。そのような時こそ、「ワークができなかった自分」をただ受け止め、「また明日やってみようかな」と、ご自身に寄り添う言葉をかけてあげてください。
他人との比較を手放し、自分のペースを大切にすることは、自己肯定感を育むための根幹となる考え方です。これらのワークを通して、日々の生活の中でご自身の価値や歩みに目を向け、焦らず、ありのままのご自身を受け入れる練習を積み重ねていただければ嬉しく思います。
小さな一歩でも、それがあなたの未来につながる大切な歩みです。応援しています。