他人と比較する癖を手放す 自分の強みを見つける自己肯定感ワーク
はじめに:他人との比較で疲れていませんか?
「あの人は仕事ができるのに、自分は...」「周りは楽しそうなのに、自分だけ...」
このように、他人と自分を比べてしまい、落ち込んでしまう経験は、多くの方が一度は抱えるものです。特に、自己肯定感が低いと感じている時、他人の良い面がより輝いて見え、自分自身が色あせて感じてしまうことがあります。
比較すること自体が悪いわけではありません。しかし、比較によって自分を責めたり、自信を失ったりしてしまうと、前に進むエネルギーがなくなってしまいます。新しいことに挑戦するのをためらったり、自分の価値が分からなくなったりすることもあるかもしれません。
このような状態から抜け出し、自分自身の価値を認め、自己肯定感を育むための一歩として、「自分の強みを見つける」ワークが有効です。自分の強みを知ることは、「自分は自分で良いのだ」という感覚を取り戻す手助けになります。
なぜ「自分の強み」を知ることが自己肯定感につながるのか
自分の強みとは、単に「できること」だけではありません。それは、あなたが自然とやってしまうこと、困難な状況でもつい出てしまうあなたの良い側面、他の人から褒められる点、そしてあなた自身が価値を感じている能力や性質のことです。
自己肯定感が低いとき、私たちは自分の欠点やできないことに目が行きがちです。しかし、誰にでも必ず「強み」があります。その強みに光を当てることで、自分自身の肯定的な側面に気づき、焦点を当てることができるようになります。
自分の強みを認識することは、以下の点で自己肯定感を高めることにつながります。
- 自己理解が深まる: 自分自身の肯定的な特性を理解し、受け入れることができます。
- 自信が育まれる: 自分の能力や価値を認識し、自分を信頼する感覚が生まれます。
- 他人との比較に強くなる: 他人の優れた点を見ても、「自分には自分の良さ(強み)がある」と思えるようになります。
- ポジティブな行動につながる: 自分の強みを活かす方法を考えることで、新しい挑戦への意欲が湧いたり、困難に対処する力がついたりします。
自分の強みを見つけるための実践ワーク
それでは、具体的に自分の強みを見つけるためのワークをいくつかご紹介します。ノートやスマートフォンのメモ機能を使って、気軽に試してみてください。
ワーク 1:過去の経験を振り返る「成功・困難リスト」
過去の経験を振り返り、自分がどんな状況で力を発揮してきたかを探るワークです。
手順
- 静かで落ち着ける場所で、紙とペンを用意します。
- これまでの人生で、「成功した」と感じること、あるいは「困難を乗り越えた」と感じる経験をいくつか書き出します。大きな出来事だけでなく、小さなことでも構いません(例:プレゼンをやり遂げた、苦手なことに挑戦した、人間関係の悩みを解決した、新しい料理に成功した、部屋をきれいに片付けたなど)。
- それぞれの経験について、以下の点を考えて書き出してみましょう。
- その時、あなたは具体的に何をしましたか? どんな行動をとりましたか?
- その経験を乗り越えるために、どんな考え方や姿勢で臨みましたか?
- 他の人から褒められた点、感謝された点はありますか?
- 大変だったけれど、やり遂げられたのはなぜだと思いますか?
- 書き出した内容を眺め、共通する要素や、繰り返し出てくるあなたの行動パターン、考え方を見つけてみましょう。そこに、あなたの強みが隠されています。(例:「諦めずに粘り強く取り組んだ」「人の気持ちを察して行動した」「新しい情報を集めるのが得意だった」「計画を立てて実行するのが好きだった」など)
期待される効果
過去の経験から、自分が無意識に使っている強みや、困難な状況で発揮される力を具体的に認識できます。他人との比較で忘れがちな自分の肯定的な側面に気づくことができます。
ワーク 2:人に聞いてみる「他己分析」
親しい友人や家族など、あなたのことをよく知っている人に「あなたの強みは何だと思う?」と尋ねてみるワークです。
手順
- あなたにとって信頼でき、安心して話せる相手を選びます(数人に聞いてみるのがおすすめです)。
- その人に、「自分の強みや良いところについて、どう思うか教えてほしい」と正直に伝えて頼んでみましょう。
- 相手が話してくれたことを、批判や否定をせず、ただ受け止めてメモします。自分では気づかなかった意外な答えが出てくるかもしれません。
- 集まった意見を読み返してみましょう。複数の人から同じような意見が出た点は、あなたの特に際立った強みである可能性があります。
期待される効果
自分では当たり前だと思っていることが、実は他人から見た時にあなたの魅力や強みであることに気づけます。客観的な視点から自分の価値を再認識する手助けになります。
ワーク 3:「ついやってしまうこと」に注目する
日常生活の中で、あなたが「ついやってしまうこと」や「苦にならずにできること」に注目してみるワークです。
手順
- 1週間程度、自分の行動を観察してみましょう。
- 以下のような「ついやってしまうこと」や「楽にできること」を意識的に記録します。
- ついつい情報収集してしまう分野は?
- 人からよく相談される内容は?
- 気づくとやっていることは?(例:人に頼まれなくても資料を整理してしまう、困っている人につい声をかけてしまう、新しいツールを試すのが好き、細かい作業が得意など)
- 時間が経つのを忘れて没頭できることは?
- 記録した内容を振り返り、「これは自分の強みかもしれない」と思うものに印をつけてみましょう。
期待される効果
自分が無理なく、自然体で発揮している能力や興味に気づくことができます。自分にとって当たり前すぎて強みだと認識していなかった側面に光を当てることができます。
ワーク実践のコツと注意点
- 完璧を目指さない: 一度で全ての強みが見つからなくても大丈夫です。気楽な気持ちで取り組んでみてください。
- 小さなことにも注目する: 「すごい」ことや「特別な」ことである必要はありません。日常生活の中の小さな行動や特性にも強みは隠れています。
- ネガティブな解釈をしない: 例えば、人に頼るのが苦手なら、それを「自立心が強い」「責任感が強い」と捉え直すこともできます。
- 継続する: 一度きりではなく、時々振り返りや新しいワークを試すことで、変化する自分の中の強みに気づき続けることができます。
- 専門ツールの活用も検討する: ストレングスファインダーなどの有料ツールも、より体系的に強みを知るための一つの方法として存在します。しかし、まずは今回紹介したような手軽なワークから始めることをお勧めします。
まとめ:自分の強みを羅針盤に、自分らしい一歩を
自分の強みを知ることは、自己肯定感を育むための大切なステップです。他人との比較で落ち込みそうになった時、自分の強みを思い出すことで、「あの人にはあの人の良さがあり、自分には自分の良さがある」と、より穏やかに自分を受け入れることができるようになります。
今回ご紹介したワークは、どれもすぐに始められる簡単なものです。ぜひ、一つでも試してみてください。そして、見つけたあなたの強みを大切にして、日々の生活や仕事の中で意識的に使ってみることを心がけてみてください。
小さな成功体験を積み重ねる中で、あなたはきっと、自分自身の揺るぎない価値に気づき、新しい一歩を踏み出す勇気を得られるでしょう。自己肯定感は、育てていくことができるものです。焦らず、あなたのペースで、自分自身の強みという羅針盤を頼りに、あなたらしい道のりを楽しんでください。