「心地よい」を集めて自分を大切にする自己肯定感ワーク
自己肯定感が低いと感じる時、私たちはつい他人の評価や社会的な基準に意識を向けがちです。自分自身の良いところが見えにくくなり、「自分は何のために頑張っているのだろう」「他の人はもっとできているのに」と落ち込んでしまうこともあるかもしれません。
そんな時、外側にばかり向いていた意識を少し、自分の内側、つまり「自分自身の感覚」に向けてみませんか。特別なことではなく、日々の生活の中で感じる小さな「心地よさ」に目を向けることは、自分を大切にする第一歩となり、自己肯定感を育む土台につながります。
「心地よさ」に意識を向けることの意義
「心地よい」と感じる感覚は、自分自身の素直な反応です。それは誰かの評価や期待に応えるためではなく、純粋に自分の心が「快」と感じた瞬間の積み重ねです。この感覚を意識し、大切にすることは、「私はこれが好き」「私はこれが心地よいと感じる」という自分自身の感覚を肯定することにつながります。
これは、自己肯定感を育む上で非常に重要です。自己肯定感は、単に自分の能力を高く評価することだけではありません。ありのままの自分自身の感覚や感情を認め、「これでいいんだ」と思える感覚も含まれます。日々の小さな「心地よさ」に気づく練習は、自分自身の内側に意識を向け、その感覚を尊重する練習になります。
ここでは、日常の中で「心地よさ」を見つけ、自分を大切にするための簡単なワークをいくつかご紹介します。
ワーク1:小さな「心地よさ」を見つける練習
まずは、日々の生活の中であなたが「心地よい」と感じた瞬間を意識的に見つける練習をしてみましょう。
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実践方法
- 朝起きてから夜寝るまで、意識を少し「心地よい」と感じることに向けて過ごします。
- 例えば、朝のコーヒーの香り、お気に入りの服を着た時の肌触り、通勤途中で見かけた花の美しさ、職場の同僚との短い挨拶、休憩中の一息、ランチの温かさ、帰宅後の部屋の落ち着く空気、お風呂のお湯の温度など、どんな小さなことでも構いません。
- 五感を意識すると見つけやすいかもしれません。「見て心地よい」「聞いて心地よい」「触れて心地よい」「味わって心地よい」「香りで心地よい」といった視点も取り入れてみてください。
- 特に何かを記録する必要はありません。まずは「あ、今、心地よいな」と気づくだけで十分です。
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実践上のコツ
- 「探さなきゃ」と気負う必要はありません。「見つけられたらラッキー」くらいの軽い気持ちで始めてください。
- 最初はなかなか気づけないかもしれません。意識する回数を増やすことから始めてみましょう。
ワーク2:「心地よさ」ジャーナルをつけてみる
ワーク1で「心地よさ」に気づくことに慣れてきたら、今度はそれを記録してみましょう。
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実践方法
- ノート、スマホのメモ機能、日記アプリなど、使いやすいものを用意します。
- 1日の終わりや、心地よさを感じたその時に、短い言葉で記録します。
- 例:「朝、カーテンを開けた時の光が気持ちよかった」
- 例:「お昼に食べたサンドイッチが美味しかった」
- 例:「帰り道、風が心地よかった」
- 例:「お風呂で好きな香りのボディソープを使った時、ホッとした」
- 箇条書きでも文章でも、自由に書いてください。量にこだわる必要はありません。1日1つでも見つけられたら素晴らしいことです。
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期待される効果
- 日常の中にどれだけたくさんの心地よい瞬間があるかに気づけます。
- 記録を振り返ることで、ポジティブな側面に意識を向けやすくなります。
- 自分にとってどんなことが心地よいのか、傾向が分かってきます。
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実践上のコツ
- 毎日完璧に記録できなくても気にしないでください。気が向いた時に書く、週末にまとめて思い出すなど、無理のないペースで行いましょう。
- 綺麗に書く必要はありません。自分だけが分かれば十分です。
ワーク3:「心地よさ」を意識的に生活に取り入れる
ワーク2で自分にとっての「心地よさ」が少しずつ見えてきたら、今度はそれを意識的に生活に取り入れてみましょう。
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実践方法
- ジャーナルを見返したり、ワーク1で気づいたことをヒントに、すぐにできそうな「心地よいこと」をいくつかリストアップします。
- 例:「お気に入りのマグカップで飲み物を飲む」
- 例:「好きな音楽を3分だけ聴く」
- 例:「植物に水をあげる」
- 例:「短い時間でもストレッチをする」
- 例:「窓を開けて新鮮な空気を吸う」
- 忙しい日常の中でも、意識してそのリストの中から一つでも行動に移してみます。
- 行動している最中、そして行動した後に、どんな感覚がするかに意識を向けてみます。
- ジャーナルを見返したり、ワーク1で気づいたことをヒントに、すぐにできそうな「心地よいこと」をいくつかリストアップします。
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期待される効果
- 自分自身を労わり、大切にする時間を意図的に作れます。
- 能動的に「心地よさ」を作り出すことで、ポジティブな感情をコントロールする感覚が養われます。
- 自分にとって何が大切なのか、価値観がより明確になってくることがあります。
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実践上のコツ
- 毎日全てを実行しようとせず、1つでもできたら自分を褒めてあげましょう。
- 本当に短い時間でできること、ハードルの低いことから始めてください。
- 義務ではなく、「自分が心地よくなるため」に行うことを忘れないでください。
ワーク実践の注意点
これらのワークは、自己肯定感を「高める」というよりも、「育む」ためのものです。すぐに劇的な変化を感じるわけではないかもしれません。大切なのは、結果ではなく、日々の小さな実践を積み重ねることです。
- 完璧を目指さないこと: 全てを完璧にこなそうとせず、できる範囲で、無理なく続けることが大切です。
- 他人と比較しないこと: 他の人が実践していることや、他の人が感じる「心地よさ」と自分を比較する必要はありません。あなたの心地よさは、あなただけのものであることを忘れないでください。
- ネガティブな感情を否定しないこと: これらのワークは、ネガティブな感情を無理に消し去るものではありません。ネガティブな感情がある中でも、心地よい瞬間を見つけることはできる、という視点を持つことが大切です。
まとめ
日々の小さな「心地よさ」に意識を向け、それを集め、そして意図的に生活に取り入れる練習は、自分自身の内側の感覚を信頼し、大切にすることにつながります。これは、他人の評価に左右されず、ありのままの自分を肯定するためのやさしい土台となります。
これらのワークを通して、あなたの日常に少しでも自分を慈しむ時間が増え、それが自己肯定感を育む一歩となることを願っています。焦らず、あなたのペースで、ぜひ試してみてください。