挑戦したい気持ちを後押しするやさしい自己肯定感ワーク
新しいことに挑戦したい気持ちがあるけれど、つい「自分には無理かも」「失敗したらどうしよう」と考えてしまい、一歩踏み出せないでいるということはありませんか。もしそう感じているなら、それは自己肯定感が少し低くなっている状態かもしれません。
自己肯定感が低いと、自分自身の能力や価値を過小評価しやすくなります。そのため、未知のことや難しいと感じることに挑戦する際、「どうせうまくいかないだろう」という考えが先に立ち、行動をためらってしまう傾向が見られます。また、他人と比べて自分は劣っていると感じ、挑戦する自信が持てなくなることもあるかもしれません。
ですが、自己肯定感は、日々の少しずつの積み重ねで育んでいくことができます。そして、自己肯定感を育むことは、新しい世界への一歩を踏み出す勇気を持つことにもつながります。
ここでは、挑戦したい気持ちを優しく後押しし、自己肯定感を育むための具体的なワークをいくつかご紹介します。どれも手軽にできるものばかりですので、ぜひ試してみてください。
ワーク1:挑戦への不安を「見える化」する
新しいことに挑戦しようとするとき、私たちは様々な不安を感じることがあります。その不安は、漠然としているほど大きく感じやすいものです。まずは、その不安の正体をはっきりさせてみましょう。
用意するもの
- ノートや紙
- ペン
やり方
- 静かで落ち着ける場所で、挑戦したいと思っていることについて考えます。
- 挑戦について考えたときに頭に浮かぶ不安や心配事を、正直に書き出します。箇条書きでも文章でも構いません。「何が不安なのか?」「一番怖い結果は何か?」「失敗したら人にどう思われるのが嫌か?」「具体的にどんなことが起こるのが心配?」など、自分に問いかけながら書き出してみましょう。
- 書き出した不安な要素を客観的に眺めてみます。
なぜ効果があるのか
漠然とした不安は、頭の中でぐるぐる考えているだけではどんどん膨らんでしまいがちです。書き出すことで不安の正体が具体的に見え、冷静に捉えることができるようになります。「これは大したことないな」「これは対策できそうだな」といったように、漠然とした恐れが具体的な課題へと変わります。不安を具体的な形にすることで、対処法を考えたり、あるいは杞憂かもしれないと気づいたりすることができます。
実践上のコツ
綺麗に書こうとせず、頭に浮かんだことをそのまま、思いつくままに書き出すことが大切です。誰に見せるわけでもないので、遠慮せず正直な気持ちを書き出しましょう。
ワーク2:挑戦を「やらない理由」から「やってみる理由」へ変換する
私たちは新しい挑戦をためらうとき、「やらない理由」を無意識のうちにたくさん探しがちです。「失敗するのが怖い」「時間がない」「自分には向いていない」など、様々な理由が頭をよぎるかもしれません。このワークでは、思考の焦点を少し変えてみましょう。
用意するもの
- ノートや紙
- ペン
やり方
- ノートや紙を縦に2つに分けます。
- 左側のスペースに、挑戦したいと思っていることについて、「やらない理由(挑戦しない理由)」を思いつく限り書き出します。
- 右側のスペースに、同じ挑戦について、「やってみる理由(挑戦することで得られるかもしれないこと、良い点)」を思いつく限り書き出します。例えば、「新しい知識やスキルが身につく」「経験が増える」「視野が広がる」「同じことに興味を持つ人と出会えるかもしれない」「単純に面白そう」といったポジティブな点を考えてみましょう。
- 左右に書き出した内容を比較してみます。
なぜ効果があるのか
このワークを行うことで、普段ネガティブな側面に偏りがちな思考をバランスさせることができます。「やらない理由」だけでなく、「やってみる理由」にも意識的に目を向けることで、挑戦することのメリットや得られるものに気づきやすくなります。ポジティブな側面に焦点を当てることは、挑戦への意欲を高めることにつながります。
実践上のコツ
「やってみる理由」は、大きな成果である必要はありません。ほんの小さなこと、例えば「新しい発見があるかもしれない」「気分転換になる」といったことでも構いませんので、たくさん書き出してみてください。論理的な理由だけでなく、「楽しそう」「やってみたい」といった感情的な理由も大切にしましょう。
ワーク3:「完璧」を手放す小さな一歩(ベイビーステップ)を設定する
自己肯定感が低いと、「完璧にできないならやらない方がマシ」「失敗したらどうしよう」と考えがちです。そのため、挑戦のハードルを自分で高く設定してしまうことがあります。このワークでは、挑戦のハードルを極限まで下げ、最初の一歩を踏み出しやすくします。
用意するもの
- ノートや紙
- ペン
やり方
- 挑戦したい大きな目標ややりたいことを考えます。
- その目標を、できる限り小さく、簡単なステップに分解します。「これなら今日の10分でできそう」「これなら失敗しても大したことない」と思えるくらいまで、細かく具体的にします。例えば「英語が話せるようになりたい」という目標なら、「毎日単語を3つ覚える」「英語の曲を1曲聴く」「英語のニュースの見出しだけ読む」など、具体的な行動に落とし込みます。
- 設定した小さなステップを「完璧にやらなくてもいい」「まずはやってみる」と自分に許可を出します。毎日必ずやらなくても良い、できたら自分を褒める、というくらいの軽い気持ちで取り組みます。
なぜ効果があるのか
完璧を目指したり、一度に大きな目標を達成しようとしたりすると、最初の一歩が非常に重く感じられます。ベイビーステップは、その一歩を驚くほど軽くします。そして、どんなに小さくても「できた」という成功体験を積み重ねることで、自信が少しずつ育まれていきます。自己肯定感は、このような小さな成功体験の積み重ねによって高まります。
実践上のコツ
設定するステップは、本当に「これなら誰でもできそう」と思えるくらい小さくすることがポイントです。目標設定は抽象的ではなく、「〜を調べる」「〜を開いてみる」など、具体的な行動にすると取り組みやすいでしょう。
ワーク4:挑戦を通じて得られる「成長」や「経験」に焦点を当てる
挑戦の結果がどうなるかは、やってみるまで分かりません。私たちはつい結果の良し悪しに一喜一憂してしまいがちですが、挑戦の本当の価値は結果だけにあるのではありません。挑戦の過程で、私たちは多くのことを学び、成長することができます。
用意するもの
- ノートや紙
- ペン
やり方
- 挑戦を始めたら、定期的に(例えば毎日寝る前、あるいは週末に)挑戦を通じて「何を感じたか」「何を学んだか」「どんなことに気づいたか」「どんな経験をしたか」などをノートに記録します。
- うまくいかなかったことがあったとしても、それを失敗と捉えるだけでなく、「なぜうまくいかなかったのだろう?」「ここから何を学べるだろう?」「次はどうしてみよう?」と考えたことなどを書き留めます。
- 挑戦の過程で自分が努力したこと、頑張ったこと、少しでも進歩したことなどに意識的に目を向け、記録に残します。
なぜ効果があるのか
結果にばかり焦点を当てると、うまくいかなかった時に自己否定につながりやすくなります。過程での努力や学び、成長に目を向ける練習をすることで、結果に関わらず自分自身の価値や取り組んできたことの意義を見出せるようになります。これにより、失敗を「終わり」ではなく、「次へのステップ」や「貴重な経験」と捉えられるようになり、自己肯定感を保ちながら次の挑戦につなげることができます。
実践上のコツ
記録する内容は、どんなに小さなことでも構いません。その日に少しでも頑張ったこと、以前はできなかったけれどできるようになったことなどを積極的に見つけて書き留めましょう。ネガティブな出来事も、そこから何を学んだか、どう乗り越えようとしているか、といった成長の視点で記録することがポイントです。
ワークを続けるためのヒント
ご紹介したワークは、どれも特別な道具や時間、場所を必要としないシンプルなものばかりです。これらを日々の生活の中に少しずつ取り入れていくことで、挑戦に対する心のハードルが下がり、新しい一歩を踏み出す勇気が育まれていくのを感じられるかもしれません。
- 無理なく続けられる頻度で: 毎日完璧にやらなくても構いません。週に数回、あるいは気が向いたときにでも、できる範囲で続けることが大切です。
- できたことに目を向ける: ワークを実践できた自分、少しでも挑戦に近づいた自分を認め、褒めてあげましょう。
- 他人と比較しない: 他の誰かと比べるのではなく、過去の自分と比べてどう変化したか、自分のペースで進んでいるかに焦点を当てましょう。
- 失敗を恐れすぎない: ワークでも挑戦そのものでも、うまくいかないことがあっても大丈夫です。それは自分を責める理由ではなく、次にどうするかを考えるための材料だと捉えましょう。
まとめ
挑戦したい気持ちがあるのに一歩踏み出せないのは、決してあなたが弱いからではありません。自己肯定感が少し疲れているだけかもしれません。今回ご紹介したワークは、自分自身の内面に優しく向き合い、挑戦への不安を和らげ、小さな成功体験を積み重ねていくためのものです。
これらのワークを通じて、少しずつ「自分にもできるかもしれない」という感覚や、「たとえうまくいかなくても大丈夫」という安心感が育まれていくでしょう。自己肯定感が高まるにつれて、新しい世界への一歩が、以前よりもずっと軽やかに感じられるようになるはずです。
まずは、今日からできる小さなワークから、あなたのペースで試してみてはいかがでしょうか。あなたの挑戦したい気持ちが、やさしく後押しされることを願っています。